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枯れ尾花

10年くらい前、
高校の水泳部の先輩と車でおよそ1週間かけて札幌から知床まで湧水地を巡りながら往復した。
途中の観光やグルメ情報は全て無視して川釣りとキャンプ三昧の日々だった。

お互い釣りに目覚めたばかりで意気は高いが、
都心に住んでいると終日ねばっても釣果がしぶいことが多いから相当うっぷんが溜まっていたのだと思う。

いざ旅行の初日、
一足先に現地入りして何度かテントを張って野営していた先輩が、
今まであったこと、支笏湖の方に穴場をみつけたとか、思ってたより携帯コンロの燃料の消耗が早いだとか、色々話してくれた中で、
「夜中にテントのカバーをはためかせる風が、人がつかんで揺らしてるかのようで不気味だ。」
と言っていた。

この旅行のために以前から綿密な打ち合わせをかさね、
キャンプ道具は神保町のさかいやで大体同じものを揃えた。
テントは型落ちしたシェラデザインのやつが、とても軽いし組み立ても簡単で、処分価格1万円というのが決め手となり、2人ともそれを買ったのだった。



その晩、
はじめてテントを張って、明日にそなえて早めに寝ようとしていたら、
急にバババッと激しくテントをゆすられた。
さっきの話を受けて先輩がおどかしに来たんじゃないかと思うくらい、
ほんとうに誰かが悪戯で揺らしてるようなリズムだった。

外に出てタバコを吸いながら様子を見ていると、
やっぱり風に煽られてるだけらしく、ふだん建物で暮らしていると風雨の影響ほとんど感じないけど、
そうか、今日は薄手のテントだもんな、と妙に納得した。


話は変わって、まだ自分が高円寺に住んでいた頃、
夜遅くに青梅街道の東中野と中野坂上の間を歩いていたら、
道の反対側で白いコンビニ袋がスーーッと垂直に舞い上がって、
みるみるうちにビルの屋上くらいの高さまで昇り、
そのまま上空をフワフワ漂っている様子をしばらく眺めていたことがあった。


ついこの間は、世田谷の羽根木公園で、
林の中を抜ける階段を下りていたら、
両脇の草むらの中で、べつにめずらしくもない雑草の、
針系の葉の先端部分だけが風をうけて踊るようにクルクルまわっているのをはじめて見て、
こんなふうになるとは知らなかったので、結構おどろいた。



子供のときは誰しも知らないことが沢山あって、不思議に感じた出来事も多かったと思う。
その当時は解釈のしかたも子供であるがゆえに自由だったから面白いエピソードがうまれやすかった。

お化けや幽霊が登場する不思議な話にしても自分は、
誰かのオリジナリティあふれる解釈の部分を面白がってるのかもしれない。

大人になった今では、何がおこっても分別みたいなもので処理しているから見落としがちだけど、ちょっと気分を変えてじっくり物事を眺めてみると、意外な新事実に気づくことがある。
ときには自分の好きな考え方を発展させて、こうだったら面白いのにっていうアイデアを思いつくことも。

場をわきまえずに素朴な感想を口にしたり浮世離れした話ばかりすると迷惑がられるだろうけど、面白さや盛り上がるかどうかで計れない貴重な話はあるし、どう解釈しようが自由な部分は残しておかないと息がつまってしまう。
そういうものを許容してくれる場所は常に確保しておきたいと思っている。

風にまつわる話ばかりだと書いてる途中で気づいたが、とくに狙ったわけじゃなく、たまたまそうなりました。

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