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渋谷駅の窓

小学生の頃はバスと電車を何本か乗り継いで学校に通っていた。

片道1時間以上、朝は6時23分のバスに間に合うように家を18分に出るとか、友だちと連れ立って登校したいから途中駅のホームで7時半までは待つとか、みょうに細かい数字まで覚えている。

学校の裏山にマラソンコースがあって、始業までの間そこを走って身体を鍛えることが推奨されていた。
運動は苦手だったけど、誰かに誘われたら一緒に行ってたと思う。
イチョウの根が道をまたいでるゾーンが好きだった。季節によってはヤマブキとかシャガの花が目に飛び込んでくる。
中でも印象に残っているのは、全校生徒にふみしだかれて粉々になった銀杏が長い間アスファルトにこびりついて臭っていたこと。
あとは栗饅頭みたいな形のとちの実が少々、どんぐりや松ぼっくりは見かけなかった。



朝礼とかも定期的にあったような気がするが、周りに流されて何となく動いていたから、具体的なことはまるっきり覚えていない。
いつもは古めかしい作りの講堂で行なわれる。
グラウンドで話を聞いた記憶もあるから天候によって変わるのかも。
高学年になって講堂の二階席に割り当てられたときは少し楽しかったな。

下校時は駅まで同じ方面の友だちと遊びながらダラダラ帰る。
学校の裏山は途中から公園になっていて、広場に噴水に遊具場、虫がいそうな植え込みやカードゲームやるのに好都合な東屋など、寄り道スポットが沢山あった。
けれども、学校(の周辺)に遅くまで残っていたり、買い喰いが見つかったりすると怒られるから、
皆そこまで羽目を外すこともなく、名残りを惜しむようにじゃれ合いながら、1時間そこそこで切り上げていたと思う。

最寄り駅からは丸の内線に乗り、赤坂見附で銀座線に乗り換えて、渋谷駅で降りる。
銀座線のホームは地下鉄のくせに駅ビルの上の方にあるのだが、
ある日、電車を降りたところで上品そうな身なりの小母さんから声をかけられた。

朗らかな笑みをうかべ、
「ボク、社会の窓が開いてるわよ?」
などと言う。

しゃかいのまど? はじめて聞く言葉だ。
ふと前方を見ると、駅前のロータリーを見渡せる白い木枠のガラス戸が。

・・・なるほど、一見なんの変哲もない窓だけど、きっと待ち合わせ場所かなにかで、特別な名前がついているんだな、「アモーレの鐘が11時をお知らせします」みたいなノリか、べつに教えてくれなくてもいいのにな・・・。

今でも渋谷駅の銀座線ホームに降りるたびに思い出す。
いまだにズボンの前の閉め忘れはよくあるけど、そのときは別に思い出さない。

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